STAP再現、道険し 「白紙からの検証」五つのステップ

来源: 2014-04-02 18:05:49 [博客] [旧帖] [给我悄悄话] 本文已被阅读:

STAP再現、道険し 「白紙からの検証」五つのステップ


STAP(スタップ)細胞」論文の不正疑惑について、理化学研究所調査委員会の最終報告書が公表された。「論文には捏造(ねつぞう)や改ざんなど不正があった」と認定されたが、STAP細胞が本当にあるのかどうかについては依然不明のままだ。理研は1年程度かけてSTAP細胞をゼロからつくり直して確かめるという。その検証法とはどんなものか。

 

 検証は5段階に分かれる。実在を確かめるには細胞をつくっただけではだめで、マウスをつくるなど少なくとも3段階まで成功させなければならない。途中で失敗すれば、STAP細胞は幻になる。

 

 [1]緑色に光るか

 万能細胞に特有の遺伝子が働き出すと緑に光るマウスをつくる。このマウスから血液細胞の一種のリンパ球を取り出し、酸につけ、その刺激でつくり出した新たな細胞がSTAP細胞。緑に光れば万能細胞の可能性がある。だが、緑色に光っただけでは万能性の証明としては不十分。いろいろな細胞に変われるのかを示さなければならない。

 この段階までは、理研内部で小保方晴子ユニットリーダー以外の研究者も再現できているという。

 

 [2]子も光るのか

 こうしてできた細胞を受精卵(胚(はい))と混ぜ、子宮に戻し、マウスの子どもをつくる。この細胞が万能細胞なら受精卵とともに全身の細胞や組織に変わり、まだら状に光るマウス(キメラマウス)が生まれる。これで万能性は証明される。

 この段階は「クローンマウスづくりが世界でもっともうまい」と評される若山照彦・山梨大教授ですら、何度も実験をやり直し1年以上かかった。困難を極めると予想される。

 そこまでできても、まだ、この細胞はリンパ球が変化したのではなく、もともとマウスの体の中にある万能性を持つ細胞だったという可能性は残る。

 

 [3]目印はあるか

 リンパ球からつくった細胞が万能化しているのなら、キメラマウスの細胞にリンパ球の目印があるはず。この目印はリンパ球にしかないものなので、マウスの細胞に目印があれば、リンパ球からつくられた万能細胞だという証拠になる。目印を見つけられれば、STAP細胞の存在を証明したことになる。

 ただし、STAP細胞は増える能力が体外ではほとんどないので、医療への応用にあまり役立たない。

 

 [4]増えるのか

 そこで、STAP細胞から、ほぼ無限に増えることができる「STAP幹細胞」をつくり、(2)、(3)と同様の証明をする。成功すれば、iPS細胞などと同じように再生医療に使える万能細胞ができたことになる。ここまででネイチャーの論文に書いてあったことの再現は完成する。

 

 [5]他の細胞でも

 リンパ球以外の体の細胞に他の細胞と区別のつく目印をつけ、(1)~(4)の証明を繰り返す。こうした方法は論文にはなく、さらにSTAP細胞の存在を立証できたことになる。

 理研によると、実験の計画は4月1日から1年間程度。理研発生・再生科学総合研究センターの相沢慎一特別顧問が実験の総括責任者で、丹羽仁史プロジェクトリーダーが実際に研究を進める。実験の過程で、より優れた方法が見つかれば公開していくという。

 

 ■可能性残っている/内部での追試に是非

 「白紙から検証する」(竹市雅俊・理研発生・再生科学総合研究センター長)という再現実験。STAP細胞の存在を示せるのか。専門家に聞いた。

 柳田充弘・沖縄科学技術大学院大教授(細胞生物学)は「この状況では、懐疑的な人は『うまくいかなくて当たり前』と思う。そう考えている研究者も多いだろう」と指摘する。

 一方、再現に取り組む丹羽プロジェクトリーダーについて「このアイデアを捨てないで1年間かけてやってみようということだろう。取り組むこと自体は無意味とは思わない。まだ可能性は残っている。再現実験の中で、初期化に関する新しい方法や仕組みが見つかるかもしれない」と期待も込めた。

 理研が自ら再現実験をするのは、論文の根幹が揺らぎ、ほかの研究者による追試が期待できないからだ。

 日本分子生物学会理事長を務める大隅典子・東北大教授(神経発生学)は「理研の内部で再現性を調べることの是非はあるが、まともな論文が出てきてようやく、評価に対する議論ができるようになる」と話す。現状での追試は「やりたい人がやればいい」と考えているという。

 大隅さんが改めて強調するのはSTAP細胞の有無ではなく、論文そのものの検証の問題だ。「疑義は六つだけではない。もっと踏み込んだ調査をすべきだと思う」と話した。

 (鍛治信太郎、木村俊介)